「毎日なんだか疲れる…を変える“内なるバランス”の話」
〜発酵と和漢のチカラで、内から元気をサポートする理由〜

「毎日なんだか疲れる…を変える“内なるバランス”の話」
〜発酵と和漢のチカラで、内から元気をサポートする理由〜

【はじめに】

「しっかり寝ているはずなのに、朝から体が重い
「日中もなんだか集中できない」「気分が落ち込みやすい」──
そんななんとなく不調を感じていませんか?
それは、年齢やあなたの頑張りが足りないせいではなく、
体の中のバランスを保つ力が少し揺らいでいるサインなのかもしれません。

 

【1章:その疲れ、体の中で何が起きている?】

 

慢性的な疲労感は、単なるエネルギー切れとは少し違います。
それは、体の中でエネルギーを効率よく作り出し、使うためのシステムがうまく働かなくなっている状態かもしれません。
具体的には、以下のような要因が複雑に関係していると考えられています。

  • 細胞のエネルギー工場(ミトコンドリア)の機能低下: エネルギー産生の効率が悪くなる。
  • 自律神経の乱れ: 体のオン・オフの切り替えがうまくいかず、常に緊張状態になったり、逆に活動的になれなかったりする。
  • 小さい炎症が続いている: 体の中で気づかないうちに小さな炎症が続き、エネルギーを消耗する。
  • 腸内環境の変化: 栄養吸収や免疫機能に影響が出る。
  • 酸化ストレス: 細胞を傷つけ、機能低下を招く活性酸素の影響。

 

* 少し専門的な解説

 

近年の研究では、慢性疲労症候群(ME/CFS)やロングCOVIDなどに見られる持続的な疲労感の背景に、これらの要因が複合的に関与している可能性が指摘されています。特にミトコンドリア機能不全や、神経系の調節異常、免疫系の変化などが注目されています。
(参考:Ricci F et al., Eur J Clin Invest, 2022/Eaton-Fitch N et al., J Transl Med, 2023)

 

【2章:“第二の脳”と呼ばれる腸の役割】

 

「腸は消化器官」というだけではありません。
実は、私たちの心と体の健康に深く関わる、非常に重要な器官なのです。

  • 栄養の吸収: 体を作る材料やエネルギー源を取り込む。
  • 免疫機能の要: 体を守る免疫細胞の約7割が腸に集まっていると言われる。
  • ホルモンや神経伝達物質との関連: 腸内環境が、気分や精神的な安定にも影響を与える可能性が研究されている。

腸内環境が健やかであれば、これらの働きがスムーズに行われ、体全体のバランスが整いやすくなります。逆に、腸内環境が乱れると、栄養吸収が悪くなったり、不要な物質が体内に漏れ出したり(腸管透過性の亢進、いわゆるリーキーガット)、免疫や神経系のバランスに影響を及ぼし、全身の不調感につながることも考えられています。

 

* 少し専門的な解説

 

ME/CFS患者さんでは、健常者と比較して腸内細菌叢のバランス(多様性や特定の菌種の増減)に違いが見られることや、腸管透過性の亢進との関連が報告されています。特に、有用な代謝物(例:酪酸などの短鎖脂肪酸)を作る細菌の減少などが指摘されています。
(参考:Lee JS et al., Front Immunol, 2022)

 

【3章:伝統の知恵、発酵と和漢の恵み】

 

古くから健康維持に活用されてきた「発酵食品」と「和漢植物」。これらが持つ力が、現代人の健やかな毎日をサポートするとして、再び注目されています。

 

発酵の力

 

発酵は、微生物の働きによって食品の成分が変化し、保存性が高まったり、新たな栄養価が生まれたりするプロセスです。

  • 栄養素の分解・吸収サポート: 微生物が食品成分をある程度分解してくれるため、消化しやすく、栄養素が吸収されやすくなることが期待されます。
  • 腸内環境へのアプローチ: 発酵食品に含まれる微生物(プロバイオティクス)や、微生物のエサとなる成分(プレバイオティクス)が、腸内フローラのバランスをサポートします。
  • 有用な成分の生成: 発酵過程で、ビタミン類、アミノ酸、ポリフェノールなどの生理活性を持つ様々な成分が新たに生成されたり、増加したりすることが知られています。

 

和漢植物の力

 

和漢植物(伝統的に使われてきた植物など)は、自然が持つ様々な成分を含んでいます。

  • 体のバランス調整をサポート: 巡りや水分バランスなど、体全体の調和を整える働きが期待されるものが多くあります。
  • 健やかな毎日をサポート: 気持ちを穏やかにしたり、活動的な一日を支えたりする働きを持つとされる植物もあります。
  • 体を守る力をサポート: 抗酸化作用を持つ成分を含み、細胞の健康維持を助けるものが知られています。
  • エネルギー産生へのアプローチ: 細胞のエネルギー産生(ミトコンドリア機能など)に関わる成分を含む植物も研究されています。

 

* 少し専門的な解説

 

和漢植物に含まれる多様な成分(サポニン、フラボノイド、テルペノイドなど)は、抗酸化、抗炎症、免疫調節、神経保護、エネルギー代謝調整など、多岐にわたる生理活性を持つことが基礎研究で示されています。例えば、高麗人参、黄耆、霊芝などは、伝統的に滋養や活力維持に用いられ、その薬理作用に関する研究も進んでいます。また、発酵技術を用いることで、これらの植物に含まれる成分の構造が変化し、吸収性や生理活性が高まる可能性も研究されています。
(参考:Howes MJ et al., Front Pharmacol, 2023)

 

【4章:健やかな毎日のために、注目したい栄養素】

 

体のエネルギー産生やバランス維持には、様々な栄養素が関わっています。特に注目されている成分をいくつかご紹介します。

  • CoQ10(コエンザイムQ10)やNADH: 細胞のエネルギー産生工場(ミトコンドリア)で重要な役割を果たす補酵素。
  • ビタミンB群: エネルギー代謝や神経系の働きに不可欠な補酵素群。
  • ビタミンD: 免疫機能や筋肉の維持に関わる。
  • マグネシウム: エネルギー産生や神経伝達、筋肉の働きなど、多くの体内反応に関わるミネラル。
  • ポリフェノール類: 植物に含まれる抗酸化成分。体のサビつきを防ぎ、健やかな巡りをサポート。
  • オメガ3系脂肪酸 (EPA, DHA): 青魚などに含まれ、炎症バランスや神経系の健康維持に関わる。

これらの栄養素は、日々のバランスの取れた食事から摂取することが基本です。しかし、現代の食生活やライフスタイルでは不足しがちな場合もあります。そのような時に、伝統的な発酵食品や和漢植物などを上手に活用することも、健やかな体を維持するための選択肢の一つとして考えられます。

 

* 少し専門的な解説

 

ME/CFS患者さんを対象とした予備的な研究では、CoQ10とNADHの組み合わせが疲労感の軽減に寄与する可能性が示されています(Billington K et al., J Hum Nutr Diet, 2023)。また、マグネシウム不足と疲労との関連や(Bjørklund G et al., J Magnesium Alloy, 2024 Pre-proof)、ビタミンD低値とロングCOVIDの疲労との関連も報告されています(Çınar D et al., Clin Nutr ESPEN, 2023)。ポリフェノールは、抗酸化・抗炎症作用に加え、ミトコンドリア機能や血管機能への好影響も研究されています。

 

【5章:焦らず、ゆっくりと。“内なるバランス”を取り戻そう】

 

もし今、「なんだか調子が悪いな」と感じていても、自分を責めないでください。
それは、あなたの体が「少し休んで、バランスを整えたい」と送っている大切なサインかもしれません。
その声に耳を傾け、日々の食事や生活習慣を見直し、時には自然の恵みの力を借りながら、
焦らず、ゆっくりと、あなた本来の健やかさを取り戻していきましょう。

 

参考文献

  • Howes MJ et al., Front Pharmacol (2023), doi: 10.3389/fphar.2023.1200518
  • Ricci F et al., Eur J Clin Invest (2022), doi: 10.1111/eci.13860
  • Lee JS et al., Front Immunol (2022), doi: 10.3389/fimmu.2022.857821
  • Billington K et al., J Hum Nutr Diet (2023), doi: 10.1111/jhn.13215
  • Eaton-Fitch N et al., J Transl Med (2023), doi: 10.1186/s12967-023-04063-2
  • Bjørklund G et al., J Magnesium Alloy (2024), doi: 10.1016/j.jma.2023.10.010
  • Çınar D et al., Clin Nutr ESPEN (2023), doi: 10.1016/j.clnesp.2023.10.023

 

※本ページの内容は、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。
健康に関する情報は一般的な参考情報であり、医学的アドバイスではありません。
ご自身の体調に不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。