発酵食品を摂り続けると、何が変わる?

発酵食品を摂り続けると、何が変わる?

〜スタンフォード大学の研究が示す、腸内環境と体のサイン〜

 

**「発酵食品は体にいい」って本当?科学的な視点から見てみよう**

 

「発酵食品は健康にいいらしい」そんな話を聞いたことがある方は多いはずです。
ヨーグルト、キムチ、味噌、ぬか漬けなど、日本の食卓にも古くから馴染み深いこれらの食品。
近年、「腸活」や「腸内フローラ」という言葉とともに、その働きに改めて注目が集まっています。

でも、「具体的に、どんなふうに体に良い影響があるの?」
「本当に私たちの腸に届いて、変化をもたらしているの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?

その疑問に答えるヒントとなる興味深い研究が、2021年にアメリカの名門「スタンフォード大学医学部」の研究チームによって発表されました。

 

研究の概要:発酵食品 vs 食物繊維、10週間後の腸と体の変化は?

  
この研究では、健康な成人を2つのグループに分け、10週間それぞれの食事を続けてもらい、腸内細菌や血液中の指標にどのような変化が見られるかを比較しました。

  • 発酵食品グループ: 多様な種類の発酵食品を毎日の食事に取り入れる。
  • 高食物繊維グループ: 食物繊維が豊富な食品(野菜、豆類、ナッツ、種子、全粒穀物など)を毎日の食事に多く取り入れる。

 

発酵食品グループが摂取したもの(例):

 
ヨーグルト、ケフィア(発酵乳)、発酵カッテージチーズ、キムチ、ザワークラウトなどの発酵野菜、発酵野菜の汁(ブライン)、コンブチャ(紅茶きのこ)など。
※参加者は、これらの発酵食品の中から選んで、摂取量を10週間かけて徐々に増やしました(目標:1日あたり約6サービング)。

 

研究でわかった主なこと(結果):

 

✅ 【発酵食品グループ】腸内細菌の「多様性」が向上!
発酵食品を多く摂取したグループでは、腸内に生息する細菌の種類(多様性)が有意に増加しました。腸内細菌の多様性が高い状態は、一般的に、より安定的でバランスの取れた腸内環境を示すと考えられています。

✅ 【発酵食品グループ】炎症に関連するマーカーが減少
血液検査の結果、体内の炎症状態を示す可能性のある指標(炎症マーカーと呼ばれるタンパク質。例:インターロイキン-6など)が、複数(論文では19種類)減少していることが分かりました。これは、発酵食品の摂取が、体の過剰な炎症反応を穏やかにする可能性を示唆しています。

✅ 【高食物繊維グループ】これらの指標には大きな変化なし
一方、腸に良いとされる食物繊維を多く摂取したグループでは、今回の研究で測定された腸内細菌の多様性や特定の炎症マーカーにおいては、発酵食品グループで見られたような大きな変化は観察されませんでした。(※食物繊維には他の重要な健康効果があります)

 

なぜ「腸内細菌の多様性」が大切か?

 
私たちの腸には、数百兆個とも言われる多種多様な細菌が共生しています。これらの「腸内フローラ」と呼ばれる細菌群は、私たちが食べたものを分解して栄養吸収を助けたり、ビタミン類を合成したり、免疫系の働きをサポートしたりと、健康維持に欠かせない様々な役割を担っています。

一般的に、腸内細菌の種類が豊富(多様性が高い)であるほど、様々な外部からの変化(食事の変化、ストレス、体調不良など)に対応しやすく、腸内環境全体のバランスが安定していると考えられています。このバランスの取れた腸内環境が、全身の健康を支える土台の一つとなるのです。

 

毎日の食生活でできること

 
この研究は、日々の食事が私たちの腸内環境、ひいては体全体のバランスに影響を与えうることを示唆しています。

 

食生活に取り入れやすい発酵食品の例:

  • 朝食に:プレーンヨーグルト、納豆
  • 食事の副菜に:キムチ、ぬか漬け、ザワークラウト
  • 汁物に:味噌(加熱しすぎに注意)
  • 飲み物として:甘酒(米麹・非加熱タイプ)、ケフィア、コンブチャなど
    ※ご自身の体調や好みに合わせて、無理なく続けられるものから試してみるのがおすすめです。

 

出典・参考資料

 

まとめ

 

「発酵食品は体に良い」という感覚的な理解だけでなく、科学的な研究によっても、その力が少しずつ解き明かされ始めています。
今回ご紹介したスタンフォード大学の研究は、日常的に多様な発酵食品を摂取することが、腸内細菌の多様性を豊かにし、体の炎症に関連する指標を穏やかにする可能性を示した、興味深い一例です。

ただし、食品の効果や体への影響は、個人の体質や腸内環境の状態によって異なります。
まずは難しく考えず、ご自身の体調を見ながら、毎日の食卓に発酵食品を少しずつ取り入れてみるのはいかがでしょうか。


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